【ディナー】小さなレストランの大きな幸せの法則
2015/12/31
千葉県庁の裏通りを少し進んだところに、小さなレストランがあります。イタリアンともフレンチともつかないそのレストランは、僕と妻にとってとても馴染みの深い店です。はじめて訪れたのは、2010年12月の終わりのことでした。まだ結婚もしてなく、猫も飼ってなく、僕が住んでいたマンションの近くを散歩していて偶然見つけて入りました。それが、ちょうどお店のオープンの日の夜でした。翌月末には結婚して東京に引っ越したので、わずか1か月の間でしたが、4~5回は食べに行ったと思います。なんだか、すごく大事な時間を支えてもらったような、そんな思い出のあるお店なのです。その後は、偶然千葉に行ったとき一度ふらりと訪れたきりだったのですが、今日は大事な友人との会食なので、久しぶりに来たというわけです。
店の魅力、というか、不思議なところはたくさんあるのですが、オーナーシェフ曰く「自由に好きなものを注文できるレストラン」というとおり、メニューを見ずに食べたいものを言うと作ってくれます。今日は久しぶりなので、あれも食べたいこれも食べたい……と言っていたら、「1,500円でサラダとパスタと石焼きオムライスにデザートとコーヒーもつけるよ」という声が聞こえてきたので、そのまま注文することにしました。
『ぶらり途中下車の旅』で立ち寄った舞の海も食べたという名物「石焼きオムライス」
数年ぶりに食べた味の感想は、正直、腕が上がってる!!味わいだけではなく、ふっくらした卵を石焼きで焦がし、混ぜて食べるという「石焼きオムライス」の創作の楽しさはピカイチでした。そして、このお店のこだわりポイントは、なんといっても、開店当初から370円で出している「ペペロンチーノ」です。最後にもうちょっと食べたいねというとき、1,000円のパスタしかなかったら諦めざるを得ないかもしれない。そういう人のために、手軽な金額で食べれるメニューを用意したいというシェフの想いが込められた一品です。僕は、このお店に来るたびに、おそるおそるメニューを開いて、ペペロンチーノの金額を確認します。――でも、5年近くが経った今でも、当時と変わらない数字がそこにはありました。
最後のデザートは、「栗のシュークリーム・あんずシャーベット添え」でした。クリームがたっぷり入って、コーヒーにとてもよく合いました。
元パティシエのシェフ手作りの「栗のシュークリーム・あんずシャーベット添え」
結局、シェフも交えて4時間くらい話しました。他にも2組のお客さんがいらっしゃったのですが、おいおい、こんなに話し込んで大丈夫?と心配になるくらい、楽しい時間を過ごしました。
はじめてこの店を訪れてから5年間――当時はピカピカだったお店の調理器具には貫禄がついて、僕は転職し、妻はお腹の中に赤ちゃんがいて、みんな少しずつだけで大きな変化をしています。シェフも経営者として、いろいろな困難を乗り越えてきたことを聞きました。でも、「私はずっとここにいるから、5年前のこともつい数日前のような気がします」という言葉が妙に印象に残りました。
ビジネススクールで学んだ経営戦略やらマーケティングやらの否定になってしまうかもしれませんが、小さなお店が持続するために一番大切なことは、オーナーの人柄とか想いなのだなと実感しました。
最後に……。このお店の奥には、実は2階へと続く階段があります。ワイン蔵をイメージして作ったという2階には、お店の外観からは想像もつかない世界が広がっています。ぜひ、お店に行ったときは、階段を上がってみてください。
●カフェ プランツォ
http://caffepranzo.simdif.com/