母の描いた絵
2015/12/25
数ヶ月前、家族で食事をしているときに、おもむろに母に聞かれた。
「人間がそこにいるっていう意味のカッコイイ英語知らない??」
哲学的なニュアンスもあった方がよいと言うので、何に使うかも知らないまま、「existence」という単語を伝えた。
しばらくして、母から手紙と一緒に美術館の招待状が送られてきた。母は数年前に中学校の美術の先生を定年退職して、最近は実家の近くにアトリエを借りて絵を描いているとは聞いていたけれど、展覧会の出展作品に選ばれたというのだ!!
そんなわけで、今日、見に行ってきた。場所は六本木の国立新美術館。
昨日あたりから春の日差しが暖かくなってきた。心地よい季節の到来にぴったりな感じのする『第88回 春陽展』
入口から少し奥まった所に母の絵は飾られていた。
階段を行き交う男女の背景に、影のように抽象化された人間が折り重なっていた。そして、タイトルは……
「EXISTENCE」
ここに使われたのか!!
周りの絵の画家さんと会話をしながら、自分の絵が飾られている会場を歩く母が、家では見たことがないくらい頼もしく誇らしく思えた。