出航
2015/12/25
実家の玄関先で出会ったのは、去年の5月だった。出会いというより、すれ違いというくらいの短い時間の交差。そのとき、その猫を飼うことになるなんて予想もしていなかった。
その日からおそよ9ヶ月後の平成23年2月11日。ペット可のマンションに住み始めた僕たちと、実家に住み着いた野良猫を可哀そうに思っていた母の思惑がかみ合って、ミーちゃんは僕たちの新居にやって来た。
三毛猫の「ミー」
ミーミー鳴くから「ミー」
嫁のお母さんから1文字もらった「ミー」
名前の由来は定かではないけれど、僕とかわいくて賢いミーちゃんと、自分の方がかわいくて賢しと言い張る嫁との3人の生活が始まった。
それから2ヶ月。猫のいる生活にも慣れ始めた頃、ネットで評判の良い病院を探して、初めて獣医さんに連れて行った。とくに具合が悪そうというわけでもなかったのだけれど、一度きちんと検査をして、ワクチンを打ってもらおうと思ったのだ。
受付で看護婦さんに「ミーちゃん」の診察券を作ってもらい、動物想いで優しそうな先生に診察といくつかの検査をしてもらった。
ミーちゃんはその間も、「野良猫とは言わせないわよ」とでも言わんばかりに、大人しく先生の言うことを聞いていた。先生にも誉められて、ミーちゃんも僕たちもなんだか誇らしかった。
診察が終わってしばらく待合室で待った後、再び先生に呼ばれ、
検査の結果が告げられた。
ミーちゃんは「猫エイズのキャリア(陽性)」と診断された。
先生が結果を伝えるときの辛そうな顔がこれから先、ミーちゃんを苦しめるであろう病魔の困難を物語っているような気がした。
空から落っこちてきたトンカチで殴られたような頭の中が真っ白になるくらいショックだった。飼い主に捨てられて、今まで辛い思いをしてきて、やっと安心できる居場所を見つけたのに、また苦しまなくちゃいけないのかな…。
家に帰ってパソコンを立ち上げ、「猫エイズ」正確には「猫免疫不全ウイルス感染症」という病気についてありったけの検索をして調べた。
○ 猫エイズは症状によって第1期から第4期のに分かれていて、症状が安定する第2期が数年から長ければ10年くらい続く。
○ 第2期を長く続けることができれば、寿命を全うすることも多い。
どうすればミーちゃんが長生きできるのだろうか?!
○ 栄養のある食事とストレスのない生活が大切。
○ なによりも飼い主の愛情が一番の薬になる。
いろいろなブログやサイトを見ていくうちに、同じ宣告を受けながら、元気に明るく前向きに生活している飼い主と猫がたくさんいることを知った。
家をいつも清潔に保って、規則正しい生活をして、愛と思いやりに溢れた家庭を築く。ミーちゃんにとって良い生活をすれば、僕と嫁とやがて授かる子どもも幸せになれるだろう。
3人(2人+1匹)で元気に力強く生きていこう!!と決意した。